アロハシャツには、様々な種類の生地(素材)が使用されています。
世界中の有名アパレルブランドが、アロハシャツからインスパイアされたデザインをコレクションで発表するほど、注目されるファッション。
今回はその生地に着目して説明させて頂きたいと思います。
そもそもアロハシャツとは何なのでしょう?
アロハシャツに関する様々な文献を集約すると、「ハワイ発祥の南国調のプリントが施されている半袖の開襟シャツ」という表現が近いかもしれません。
アロハシャツは、1850年頃にハワイに移民した日本人や中国人が着用していた作業服が始まりだと言われています。
彼らは、サトウキビやパイナップルの収穫作業を行う際、日本の着物やチャイナ服で作業着を作りました。
やがて彼らが作った作業着は、地元のハワイの人々の日常ウェアとして定着していきます。
これがアロハシャツの始まりではないかと言われています。
ちなみにアメリカでは「アロハシャツ」ではなく「ハワイアンシャツ」が正式に商標登録されているようです。
見た目の光沢や肌触りがシルクに似た素材です。
レーヨンは、木材パルプや綿などの原料を一旦溶かして糸状に加工して編み直して作られた「再生繊維」です。
基本は化学繊維で原料は天然です。
肌に優しい特徴を持つレーヨンは、肌への刺激がすくなく、吸湿性と吸水性に優れた素材です。
シルクと聞くだけで高級なイメージ湧いてくる素材です。
作り方は希少で、シルクは蚕蛾(カイコガ)という蛾の幼虫が作った繭(マユ)から繊維を得ます。
3センチ程度の繭からは1,000メートル~1500メートルの糸をつくることが出来ます。
その糸は、18種類の人体の肌に近いアミノ酸で形成される、大変希少な素材です。
コットン素材は高級なものからポピュラーなものまで幅広い範囲で使用されています。
衣類に限らず、ハンカチやタオル等の布製のバックに利用されるなど、私たちのライフシーンになくてはならない生地です。
コットンは綿花から綿(ワタ)を抽出し、それを糸状してから縦糸と横糸を編み、生地にしていきます。
綿花の生産地は中国・インド・アメリカ・パキスタンなどが中心です。
「オーガニックコットン」という名称を良く聞きますが、これは、GOTS(オーガニック・テキスタイル世界基準)の厳しい規定を守って育てられた綿花から抽出した綿(ワタ)で精製された生地の事です。
夏に着用する素材で浮かんでくる「麻」は肌触りもサラサラしていて、通気性も良く、コットンより吸水性に優れています。
夏場汗をかいても肌に纏わりつかない特性があり、天然繊維の中でも接触冷感に相当する清涼感を発揮してくれます。
麻素材に含まれるペクチンは汚れが付きにくく、汚れがついたとしても落ちやすい性質が特徴です。
強度もコットンより丈夫で夏場のイメージがある麻素材は重ね着をすると保温効果もあり基本的には通年素材です。
合成繊維の中で最も衣類に使用されている素材です。
天然素材と比較すると優れた特徴が多く、シワになりにくい、速乾性が良い、日光に強く色があせにくい、選択の縮みがない、光沢感があるなど、天然素材に比べると価格も安価で優れた性質を持ちます。
但し難点も多く、静電気が起こりやすい、アイロンをかけるとテカリやすい、薄手の素材は家庭で洗濯し難い等があげられます。
昨今は環境問題で指摘を受けやすい素材です。
企業の制服やアスリートのユニホームで活用されることも多く、ファッションでは女性のワンピースやブラウスなどに多く使用されています。
レーヨンの光沢は高級感がありシルクに近い表情を醸し出してくれます。
その上質な肌触りの特徴をご紹介いたします。
ポリエステルは静電気に反応して肌に纏わりつきますが、レーヨンはポリエステルに近いしなやかさでありながら、静電気に反応しません。
肌に纏わりつかず、体のラインを上品に表現できます。
一見シルクのような風合いで、品質表示を確認しないとわからないレーヨンあります。
その上品な風合いをシルクよりもお手頃な価格で購入できるのもレーヨンの魅力です。
ポリエステル同様に汗をかくとベタ付く印象があるレーヨンですが、コットンや麻ほどではないものの、通気性は良好です。
吸湿性もあり、パジャマにも活用できる素材です。
汗をかき過ぎると綿や麻に比べ乾きにくい場合がありますが、ポリエステルと比較すると通気性はあります。
エレガントな印象があるレーヨンですが取り扱いに注意する点あります。
原料に木材パルプを使用しているレーヨンは、吸水性に特化している性質上、水分を吸収し過ぎる特徴があります。
吸収された水分は繊維が膨張し(糸が太くなる)、乾燥させる際に繊維が収縮する性質があり、それが縮みの原因になります。
衣類の場合は洗濯表示を確認する必要があります。
汚れが付着した場合擦る(摩擦)と繊維が傷み、破損の原因に繋がります。
汚れを落とす際は刺激の弱い洗剤で軽く叩きながら落とすか、クリーニング店に相談する必要があります。
水分を含んだ場合シワができやすく、アイロンで乾かす場合は直接アイロンをあてるのではなく、あて布を敷いてアイロンをあてると良いでしょう。
シルクは紀元前6000年くらい前に生産された記録があり、人類と長きに渡り愛用され続けた素材です。
レーヨンに似た優しい光沢としなやかさを持つシルクですが、高級感を示す特徴をご紹介致します。
シルクは生物(蛾の幼虫)から摘出したたんぱく質を精製した素材です。
人間の肌もタンパク質から形成されているので肌に優しい素材です。
肌に対して刺激も少なく、化学繊維による肌へのダメージ(かぶれや湿疹)も少ない素材です。パジャマに採用されるケースが多いのはその為です。
蛾の幼虫から作られる繭(マユ)は紫外線を吸収できる性質があります。
約90%の紫外線をカットし、人間の肌を守ってくれる素材です。
衣類は勿論ですが、スカーフに使用されている素材もシルク製が多いのは、紫外線吸収効果の為です。
ただしプリントされているシルクは紫外線を浴びると変色しやすくなります。
なめらかで生地の中でも最上級とされているシルクは、レーヨン同様に摩擦に弱く何かにひっかけてしまった場合傷が目立ちます。
その逆に引っ張る力にはとても強い性質があります。
お値段も高くて上品なシルクは手間暇がかかる素材ですが、繊維の中でもその輝きは最も美しい素材です。
世の中で最も使用頻度が多い素材がコットンではないでしょうか。
Tシャツやドレスシャツやワンピースなどの衣類は勿論、タオル、シーツ、エプロンなどに使用されることが多く、コットン製品はとても身近な素材です。
そのコットンの特徴を幾つかご紹介しましょう。
シルクのような上品な滑らかさや、光沢を持ち合わせていないコットンですが、お手入れが簡単なところが特徴です。汚れが付きやすいですが落ちやすい面もコットンの特徴です。
シルクやレーヨンは汚れを落とす際に擦ると破損する場合が多いですが、コットンの場合多少擦っても生地は傷みにくく洗濯機で強めに設定しても大丈夫です。
タオルやハンカチのような体を拭く製品にコットンが使用されているのはその為です。
アイロンも直接あてても大丈夫な製品もあり、比較的熱に強いです。
もともと綿花から抽出される綿(ワタ)は「ふんわり」していて、それを糸状にして編んだものがコットンとなります。
そのため、その「ふんわり」とした肌触りがシルクやレーヨンとは明らかに違う特徴です。
コットンは種類も豊富で、産地によって呼び名も異なります。
高級なコットンはアメリカ産のスピーマコットンやシーアイランドコットン、エジプト産のギザコットン、中国内陸地方で採取される新疆綿、東南アジアではドワーフコットンなどそれぞれ種類が異なります。
さらに管理規定にハイレベルが求められるオーガニックコットンなどがあり、織り方や糸の太さを変えることで、品名がブロード・オックスフォード、ガーゼ、タイプライター、サテンなど数えきれない品種品目が存在します。
春夏にイメージが定着している麻素材。
一見コットンと見分けがつきにくいですが独特の清涼感があります。
肌触りはややザラつく感じとさらりとした両方の風合いが特徴です。
原料はアサ科の植物から採取精製し、糸状にしてから編んで布になります。
日本では紀元前から使用されているようです。
麻素材についていくつかの特徴をご紹介いたします。
こちらでは衣類としての需要がある種類をご紹介いたします。
大まかに3種類あり、亜麻 (リネン)、芋麻(ラミー)、大麻(ヘンプ)の3つが主流です。
それぞれの違いは植物の種類が異なることです。
亜麻 (リネン)の原料はアマ科の植物です。
栽培はヨーロッパが中心です。
日本ではリネンと聞くとヨーロッパの麻というイメージがありますが、イタリアやフランスのドレスシャツの生地説明に「リネン」と表記されている場合が多いです。
芋麻 (ラミー)の原料はイラクサ科の多年草です。
茎の靭皮(じんぴ)という皮のすぐ内側から麻繊維を採取します。
その繊維は細くて丈夫で、光沢があります。
大きな括りでは芋麻とラミーは同一として区分されますが、手織りを「苧麻(苧麻)」と称したり、機械で糸から織られたものを「ラミー」と称したりする場合があります。
大麻(ヘンプ)の原料はアサ科の植物から採取されます。
一般的には違法ドラックの印象があまり良くないですが、繊維としては必要な素材です。
吸水性が高く、コットンの約2倍の吸水性があります。
熱の伝わりも早く速乾性に優れ汗をかいてもすぐ乾きサラリとした着心地が持続されます。
麻の成分にペクチンという物質があり、このペクチンは表面を覆っていて汚れが付きにくく多少付着してもお洗濯で落ちます。
デメリットとしてはシワになりやすく、お洗濯で縮みやすい点です。
お洗濯のあとはアイロンがけが必要な衣類が多く手間暇がかかるものが多いです。
ポリエステルという言葉自体は良く耳にしますが、一言で言えば化学繊維です。
原料は主に石油です。
コットンやシルクや麻は天然繊維ですが、ポリエステル生地は天然繊維ではありません。1940年代にイギリスで開発され、第二次大戦以降は世界的に需要が多くなった素材です。
画像のアロハシャツはレーヨン素材の中でもやや丈夫なレーヨンウエザーという素材です。
光沢がありコットンよりもツルツルしていて滑らかな特徴を生かしたオープンカラーは上品な雰囲気です。
レーヨンの光沢感はかなり大胆で派手な柄を上品に導き気分を高揚させてくれます。
レーヨン素材は摩擦に弱いので何枚も重ね着をすると擦れる際に毛玉の原因になります。
重ね着の際は羽織る程度のジャケットやカーディガンが良いでしょう。
画像は大きなヤシの木が2本ダイナミックに表現され、南国の景観にマッチしたデザインです。
シルクもレーヨン同様に滑らかで肌触りがしなやかですが、レーヨンよりは高級感があります。
画像のプリントデザインは沖縄の龍をコンテンポラリー調にまとめ、尖ったイメージをシルクのしなやかさで包み込み、マイルドに仕上げました。
シルクは非常にセンシティブな特徴が魅力なので、取扱については品質表示に記載されている要項を良くご確認頂きたいです。
コットンは最も日本の気候に合う素材ではないでしょうか。
春夏秋冬に柔軟で特に夏場はアロハシャツに合います。
画像の柄は大胆なデザインなので春から夏に来て欲しいデザインです。
コットンのアロハシャツはバリエーションも豊富で大胆な柄以外にもさっぱりとしたモノトーン系もお勧めです。
レーヨンや麻に比べお洗濯もし易い素材なので。アロハシャツを最初に購入されるのであればコットンが良いと思います。
画像の麻素材のアロハシャツは麻の特徴でもある「シワになり易い」ということを予め想定し着用した際に出るシワ加減を良い雰囲気に見せるアロハシャツです。
お洗濯で干す際に軽く伸ばすと程よいシワ加減になります。
またお洗濯後アイロンでシワを伸ばし、爽やかなイメージを演出することも麻素材の魅力です。
ポリエステル素材のアロハシャツは意外と少ないです。
例えばリゾート地のレストランの制服としてアロハシャツを見かけたりしますが、殆どがポリエステルです。
中にはコットンをブレンドさせているコットンとポリエステル混紡素材があります。
コットン100%に比べるとアイロンが殆ど必要ありません。
画像のアロハシャツはゴルフ用にアレンジしたものです。
テニスにも適用できるアスリート向けのポリエステル100%素材で、もちろん普段のカジュアルウェアとしても十分活用出来ます。
アロハシャツに使用されている生地(素材)について、いくつかご紹介させて頂きました。
それぞれの生地は特徴があり、どの生地もサラサラしているツルツルしてなど個性的でメリットとデメリットがあることをご理解頂けましたでしょうか。
特に天然繊維は紀元前から活用されている素材が多く、私達人類と同じ年月を共に歩んでいるといっても過言ではありません。
アロハシャツが似合う春夏は風通しの良さや速乾性の良い生地を使用したものが多いのもそうした生地の特性を追求し選択していることもご理解いただけたのではないでしょうか。今回ご紹介させて頂いた生地以外にも様々な生地が存在していますが、最近はサスティナブルな用途が求められていて、今後も沢山の生地が開発されると思います。
皆さんがアロハシャツを購入する際は特にデザインに意識が行く方も少なくありませんが、この生地の説明を十分ご確認頂き、今後は素材の特性も楽しんでいただけたらと思います。